定性調査の分析方法5選と精度を高める調査設計のコツ

定性調査でデータを集めたものの、いざ分析の段になると手が止まってしまう。リサーチ担当者からよく聞く悩みです。インタビューやグループディスカッションで集まる情報は示唆に富む一方、数値のように一目で集計できるものではありません。進め方に迷うのも無理はないと思います。今回は定性調査の分析方法5つを軸に、調査設計から実際の分析まで、現場の感覚で整理してお伝えします。

定性調査と定量調査の違いから考える分析の核

分析方法を理解する出発点として、まず定性調査と定量調査の違いを押さえておきます。アンケートなどで数を集める定量調査に対し、定性調査が扱うのは言葉、表情、行動、文脈といった質の情報です。

この違いは分析のアプローチにも直結します。定量調査なら統計処理で傾向を可視化できますが、定性調査ではなぜそう感じるのか、どんな状況でその行動が起きるのかという深層の意味を読み解く作業になります。数値が出ない分、分析者の解釈力と構造化のスキルが問われるわけです。私自身、コンサルティングファーム時代に多くの定性調査に携わってきましたが、分析が甘いと感じる報告書は、たいていこの核を見失ったまま発言の羅列で終わっていました。

定性調査の主な分析方法5選

定性調査の分析にはいくつかのアプローチがあります。調査の目的、方法、サンプル数によって向き不向きがあるので、それぞれの特徴をつかんでおきましょう。

  • コーディング分析。インタビューの発言録を読み込み、テーマや意味ごとにラベル、つまりコードを付けていく手法です。デプス・インタビューやフォーカス・グループ・ディスカッションのデータ整理で広く使われています。
  • KJ法。アフィニティ・ダイアグラムとも呼ばれ、発言や観察メモをカードに書き出し、似たものをグルーピングして構造化します。ワークショップ形式の分析にも向いています。
  • グラウンデッド・セオリー。データから帰納的に理論を組み立てていく手法です。サンプル数が少なくても深い洞察が得られますが、使いこなすには時間がかかります。
  • ナラティブ分析。対象者が語るストーリーの構造や文脈に注目します。エスノグラフィーや長時間のデプス・インタビューで力を発揮します。
  • コンテンツ分析。テキストデータを体系的に分類、集計する手法で、定性調査のなかでは比較的定量寄りの処理に近く、大量のインタビューデータを扱うときに使われます。

どれを選ぶかは調査の種類と目的しだいです。フォーカス・グループ・ディスカッションは複数人の発言が交錯するので、コーディング分析とKJ法を組み合わせることが多くなります。一方、デプス・インタビューでは一人ひとりの文脈を丁寧に追うナラティブ分析が、深い気づきにつながることがあります。

分析精度を高める調査設計とサンプル数の考え方

よい分析は、よい調査設計から始まります。分析の段になって、聞くべきことを聞いていなかった、発言が表面的すぎてコードが立てられない、といった事態を避けるためにも、設計段階の準備が効いてきます。

定性調査の設計で意識したいのは次の点です。

  • リサーチクエスチョンの明確化。何を明らかにしたいのかを具体的に言語化しておきます。曖昧なまま走ると、分析軸がぶれます。
  • モデレーターガイドの設計。聞くべきテーマと深掘りのポイントを事前に整理しておくと、分析に使えるデータの質が上がります。
  • サンプル数の設定。定性調査には理論的飽和という考え方があり、新しい洞察が出てこなくなった時点がサンプル数の目安です。実務上はデプス・インタビューで8〜15名、フォーカス・グループ・ディスカッションで2〜4グループ程度が目安とされます。対象者の属性が多様なら、もっと必要になることもあります。
  • 録画と録音の環境整備。分析時に発言を正確にたどれるよう、質の高い記録環境を確保しておきます。

これまで国内外のインタビュールームを使ってきた経験から言うと、録画や配信環境が整っていない施設では、あとから発言を確認しようとしても音声が不鮮明で、観察者のメモだけが頼りになってしまうことがありました。分析の質は、実査環境にかなり左右されます。

分析プロセスを支える実査環境

どれだけ優れた手法を知っていても、実査で得られるデータの質が低ければ分析の精度は上がりません。フォーカス・グループ・ディスカッションやデプス・インタビューでは、対象者がリラックスして本音を話せる環境かどうかが、データの深さに直結します。

私がインタビュールーム赤坂 バイデンハウスを設計、運営するうえでいちばんこだわったのが、この点でした。国内外のインタビュールームを実際に使ってきた経験をもとに、データが取れる場所とは何かをゼロから考え直しています。

  • 2フロア構成。3階はカジュアルな雰囲気、4階は落ち着いたムードのある空間。対象者の属性や調査テーマに合わせて使い分けられます。
  • マジックミラー設置。クライアントは対象者に気づかれることなくリアルタイムで観察でき、観察者のライブな反応が分析仮説づくりに役立ちます。
  • ZOOMとストリーミング配信に対応。遠方のクライアントやチームメンバーもオンラインで実査に立ち会え、分析の共有もスムーズです。フォーカスビジョン、Forstaにも対応しています。
  • 洗面台完備の清潔な環境。対象者が快適に過ごせることで、自然な発言が引き出されます。
  • 英語対応スタッフが在籍。グローバル案件や外国人対象者を含む調査にも使えます。
  • 対象者最大6名、営業時間9:30〜22:00。フォーカス・グループ・ディスカッションに対応した広さと、夜間の実査もカバーできる柔軟な時間帯を確保しています。

定性調査の分析は、実査が終わってから始まるわけではありません。どんな環境でデータを集めたかが、分析の出発点を決めます。赤坂という立地の利便性も含め、インタビュールーム赤坂 バイデンハウスは、分析に使えるデータを取るという目的のために設計した施設です。調査設計の段階から実査環境を意識して選ぶことが、結果として分析の質を引き上げる近道になると、これまでの経験から実感しています。

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著者プロフィール

石崎 健人

インタビュールーム株式会社(リサート)取締役
株式会社バイデンハウス 代表取締役

外資系コンサルティング・ファームを経て現職。マーケティングリサーチャーであり定性調査のモデレーター。アドタイにて「Z世代の誤解とリアル。ビーリアルな、密着エスノ記」連載中。

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