ユーザビリティテストって、何人に協力してもらえばいいんだろう。調査の設計をはじめたばかりの方からベテランのUXリサーチャーまで、サンプル数の決め方で立ち止まる声をよく聞きます。少なすぎれば信頼性が心もとないし、多すぎればコストも時間もかかる。そのあいだのちょうどいいバランスを、定性調査の現場で積み重ねてきた感覚からお話しします。
目次
ユーザビリティテストのサンプル数、5人という有名な数字の本当の意味
ユーザビリティ研究の第一人者であるヤコブ・ニールセン氏が示した、5人のユーザーでテストすれば約85%の問題を発見できるという考え方は、業界では広く知られています。思ったより少ないと感じる方もいるはずです。私もコンサルティング・ファームに在籍していた頃、はじめてこの数字を耳にしたときは半信半疑でした。
ただ、押さえておきたいのは5人という数字の前提です。ニールセン氏の理論は、均質なユーザーグループに同一のタスクを課す場面を想定しています。ターゲットがはっきり絞られていて、テストシナリオが揃っているときに有効な目安なのです。実際の調査ではこの前提が崩れることのほうが多く、機械的に5人でいいとは言い切れません。
サンプル数を決める3つの判断軸
現場でユーザビリティテストの人数を検討するとき、私はおおむね次の3つの軸で考えています。ユーザーインタビューの設計段階から意識しておくと、後の分析もスムーズに進みます。
- ユーザーセグメントの数。若年層、高齢者、初心者、上級者など、テストしたいユーザー像が複数あるなら、セグメントごとに5人前後を確保するのが基本です。2セグメントなら10人、3セグメントなら15人が目安になります。
- タスクの複雑さ。シンプルな操作フローの検証なら少人数でも足りますが、複雑なワークフローや複数の導線を評価するなら、参加者を増やす必要があります。
- 発見したい問題の深さ。何が問題かを幅広く洗い出すなら、少人数で複数ラウンドを回すほうが効率的です。なぜそう感じたのかを深掘りするデプス・インタビュー寄りのアプローチなら、ひとりに十分な時間をかける設計が求められます。
ユーザーインタビューの人数という観点でも考え方は同じです。定性調査で見るべきは統計的な有意差ではなく、新しい洞察がもう出てこないと感じる飽和点に達したかどうか。この感覚は、調査を重ねるなかで自然と身についていくものでもあります。
少人数でも質を上げるユーザーインタビューのコツ
サンプル数を絞りつつ深い洞察を引き出すには、質問項目の設計とファシリテーションの腕が効いてきます。さまざまなインタビュールームで実査に立ち会ってきて思うのは、場の空気感が回答の質に驚くほど影響するということです。
参加者がリラックスできない環境では、表面的な答えしか返ってきません。逆に、ちょうどいい室温、清潔で落ち着いたインテリア、スタッフの自然な対応といった細かな要素が、本音を引き出す土台になります。Google Mapのレビューでも、スタッフの対応が丁寧だった、リラックスして話せたという声が高評価の施設に共通しているのは、偶然ではないはずです。
ユーザーインタビューのコツとして、現場で意識していることをいくつか挙げます。
- はい・いいえで終わらないオープンクエスチョンを軸に質問を組み立てる
- なぜそう思いましたか、もう少し教えてもらえますかといったフォローアップをあらかじめ用意しておく
- タスク中に発話してもらうシンクアラウドを促し、行動と思考のずれを記録する
- マジックミラー越しにクライアントが観察できるようにし、リアルタイムで気づきを共有する
分析フェーズでは、少人数だからこそひとりずつの発言や行動を丁寧に読み解けます。ユーザーインタビューの分析で手がかりになるのは、発言そのものだけではありません。表情、間、言い淀みといった非言語の情報も、見落とせない材料になります。
ユーザビリティテストに最適な場所を選ぶポイント
サンプル数や質問項目の設計と並んで、実査環境の選び方も調査の成否を左右します。とくにマジックミラーを使ったオブザベーション形式のユーザビリティテストでは、施設のレイアウトや設備が精度に直結します。
私がインタビュールーム赤坂 バイデンハウスを設計したとき、最優先にしたのは、参加者が自然体でいられることと、観察・記録の機能性を両立させることでした。これまで国内外のインタビュールームを使ってきて、どちらかに寄った施設が多いと感じていたからです。使いやすいのに清潔感が足りない、設備は立派でも参加者が緊張しやすい。そんな経験が、設計の細部に反映されています。
- フロア構成は、3階がカジュアルな雰囲気、4階がムードのある落ち着いた空間です。調査の目的やターゲット層に合わせて使い分けられます。
- マジックミラーを設置しており、クライアントが観察室から自然なやり取りをそのまま確認できます。
- ZOOMやストリーミング配信に対応し、遠方のステークホルダーもオンラインで実査に参加できます。フォーカスビジョン(Forsta)などのプラットフォームとも連携できます。
- 洗面台を備えており、長時間の実査でも参加者が快適に過ごせます。
- 英語対応のスタッフが在籍しているので、グローバル企業や外資系クライアントの調査にも対応できます。
- 対象者は最大6名まで対応でき、デプス・インタビューはもちろん、小規模なフォーカス・グループ・ディスカッションにも使えます。
- 営業時間は9時30分から22時まで。夜間の実査にも柔軟に対応できるので、スケジュールが組みやすいはずです。
ユーザビリティテストのサンプル数に、ひとつだけの正解はありません。調査の目的、ユーザーセグメント、タスクの複雑さを整理したうえで、ふさわしい人数と環境を組み合わせていく作業です。インタビュールーム赤坂 バイデンハウスは、その環境の部分で調査チームを支える施設でありたいと考えています。
お電話でのお問い合わせ:03-6441-0989(11:00〜18:00、土日祝除く)
著者プロフィール
石崎 健人
インタビュールーム株式会社(リサート)取締役
株式会社バイデンハウス 代表取締役
外資系コンサルティング・ファームを経て現職。マーケティングリサーチャーであり定性調査のモデレーター。アドタイにて「Z世代の誤解とリアル。ビーリアルな、密着エスノ記」連載中。
