ユーザビリティテストを設計したいけれど、どこから手をつければいいかわからない。そんな声をよく耳にします。UXデザインやプロダクト開発の現場で関心が高まる一方、いざ着手しようとすると、質問項目の決め方、対象人数、分析方法と、悩みは次々に出てきますよね。外資系コンサルティング・ファームで定性調査に携わってきた経験からも、ユーザビリティテストは段取り八割だと実感しています。今回は実務で使える設計ステップを、ユーザーインタビューの視点も交えてお話しします。
目次
ユーザビリティテストとユーザーインタビューの違いを整理しておく
まず、混同されやすいふたつの手法を整理しておきましょう。ユーザーインタビューは、ユーザーの行動や価値観、経験を言葉で深掘りする定性調査です。一方のユーザビリティテストは、実際にプロダクトやプロトタイプを操作してもらいながら、使いやすさを観察して評価する手法です。どちらも定性調査の代表格ですが、目的も観察するポイントも違います。
- ユーザーインタビューは、ユーザーの思考や感情、背景を理解したいときに有効です。デプス・インタビューやフォーカス・グループ・ディスカッションとして実施されることが多い手法です。
- ユーザビリティテストは、画面操作やタスク達成の過程を観察し、UIの課題を特定したいときに使います。
実際の調査設計では、このふたつを組み合わせるケースも少なくありません。操作してもらいながら「いま何を考えていましたか」と尋ねる発話思考法、いわゆるシンク・アラウドはその典型です。
ユーザビリティテストの設計ステップ
設計の流れはおおよそ次のとおりです。これまでさまざまなプロジェクトで積み重ねてきた経験をもとに、各ステップで押さえておきたい勘どころをお伝えします。
- ①調査目的を明確にする。何を知りたいのかを一言で言えるところまで絞り込みます。全体的な使いやすさを見たい、では広すぎます。初回利用者が購入完了までのフローでつまずく場所を特定する、くらいの粒度が理想です。
- ②対象者を選定する。誰に聞くかで結果の質は大きく変わります。人数は1テーマあたり5〜8名が目安です。同質なグループ内では発見が頭打ちになるので、これ以上増やしても飽和してしまうことが多いのです。
- ③タスクシナリオを作成する。「〇〇してみてください」という形で、実際の利用場面に近いタスクを設定します。操作手順を示すような表現は誘導につながるので避けましょう。
- ④質問項目を設計する。タスク後のデブリーフィングで使う質問を準備します。難しいと感じた場面はあったか、そのときどんな気持ちだったか、というように、行動と感情の両方を引き出せると分析が深まります。
- ⑤実施環境を整える。録画と録音、オブザーバーの配置、ZOOM配信やストリーミング配信の可否まで、当日の運営を見越して準備しておきます。
ユーザーインタビューのコツは聞き方にある
設計と同じくらい結果を左右するのが、当日の聞き方です。インタビューのコツとしてよく挙がるのは「なぜ」を繰り返すことですが、現場で使うと相手にプレッシャーを与えてしまうことがあります。私がよく使うのは、そのときどんなことが頭に浮かびましたか、もう少し聞かせてもらえますか、といった話しやすい問い返しです。
モデレーターが先に答えを示してしまう誘導尋問も、大きな落とし穴になります。使いにくかったですよね、と聞くのではなく、この操作についてどう感じましたか、と中立に投げかけるのが基本です。複数セッションを通じて聞き方がぶれないよう、質問項目はあらかじめ言語化しておくと安心です。
分析は、録画とメモをもとにアフィニティマッピングや構造化インタビュー分析を行うのが定番です。観察できた行動と発言、感情を分類しながら、ユーザーのつまずきパターンと動機の両軸で整理していくと、次のデザイン改善につながる示唆が浮かび上がってきます。
インタビュールーム赤坂 バイデンハウスで、設計した調査を確実に実施する
どれだけ丁寧に設計したユーザビリティテストやインタビューも、実施環境が整っていなければ台無しです。国内外のインタビュールームを使ってきた経験から感じるのは、空間の雰囲気と設備の充実度が調査の質に直結するということ。対象者が緊張しすぎる空間では本音が出にくく、設備の不具合で録画が止まってしまえば分析に支障が出ます。
そうした経験をもとに私が設計と運営を手がけているのが、インタビュールーム赤坂 バイデンハウスです。都心の赤坂というアクセスしやすい立地に、調査の目的や対象者に応じて使い分けられる2フロアを用意しています。
- 3階はカジュアルな雰囲気のフロアで、リラックスした空気が求められるデプス・インタビューやユーザビリティテストに向いています。
- 4階は落ち着いたムードのある空間で、フォーカス・グループ・ディスカッションや上質な雰囲気が必要な調査に合います。
- マジックミラーを設置しており、オブザーバーが対象者に気づかれずに観察できる定性調査の基本環境がそろっています。
- ZOOM配信とストリーミング配信に対応しているので、遠方のクライアントやチームメンバーもリアルタイムで観察に参加できます。
- 洗面台つきで、対象者もスタッフも快適に過ごせる清潔な環境です。
- 英語対応スタッフがいるため、グローバル企業のインタビューや外国語話者の対象者にも対応できます。
- 対象者は最大6名まで対応でき、フォーカス・グループ・ディスカッション形式のユーザビリティテストにも柔軟に使えます。
- 営業時間は9時30分から22時まで。夜間の実査にも対応可能です。
仮予約から本予約まで、実査スケジュールに合わせて柔軟にご相談いただけます。設計が固まったら、実施環境の選定もあわせてご検討ください。
お電話でのお問い合わせ:03-6441-0989(11:00〜18:00、土日祝除く)
著者プロフィール
石崎 健人
インタビュールーム株式会社(リサート)取締役
株式会社バイデンハウス 代表取締役
外資系コンサルティング・ファームを経て現職。マーケティングリサーチャーであり定性調査のモデレーター。アドタイにて「Z世代の誤解とリアル。ビーリアルな、密着エスノ記」連載中。
