グループインタビューの質問、どこから手をつけよう。モデレーターガイドの空白を前にそう悩んだ経験はありませんか。フォーカス・グループ・ディスカッションは、定性調査のなかでも設計の出来が結果を大きく左右する手法です。質問の順番、言葉選び、深掘りのタイミング。これらが噛み合ったときに、はじめて参加者の本音が出てきます。調査現場で実際に使える9つの質問例と設計の考え方をお伝えします。
目次
定性調査におけるフォーカス・グループ・ディスカッションの位置づけ
定量調査がどのくらい、何パーセントといった数値を扱うのに対し、定性調査はなぜ、どう感じているのかという文脈や意味を掘り下げます。グループインタビューなら1グループ4〜6名を複数グループ実施するくらいの少人数でも十分な洞察が得られるのは、一人ひとりの語りに深く向き合うからです。
定性調査の代表的な手法には、デプス・インタビュー(個別インタビュー)、フォーカス・グループ・ディスカッション、エスノグラフィー、ワークショップなどがあります。なかでもフォーカス・グループ・ディスカッションの強みは、参加者同士のやり取りから、個別では出てこなかった意見が引き出されることにあります。
質問設計の基本構造はじょうご型で深める
質問設計でまず押さえたいのが、じょうご型(funnel approach)の流れです。広いテーマから入り、徐々に具体的で核心的な問いに絞り込んでいきます。最初から、この商品のここが嫌いですか、と核心を突いても参加者は戸惑うばかり。ウォームアップから始めて、自然な流れで本音に近づきます。
質問は大きく3層に分けて考えると整理しやすくなります。
- 導入質問(ウォームアップ)。参加者の緊張をほぐし、テーマとの関わりを確認します。普段、〇〇をどんな場面で使いますか、といった答えやすい質問から入ります。
- 探索質問(コア)。調査目的の核心に迫る問いです。特に印象に残っている体験を教えてください、それはなぜそう感じたのですか、と行動の背景や感情を引き出します。
- 深掘り質問(プローブ)。発言を受けて即興で投げかける問いです。もう少し詳しく聞かせてもらえますか、他の方はいかがですか、とその場の流れに乗せて使います。
テーマ別の実践的な質問例9選
BtoC、BtoB、医療、金融など幅広い領域でフォーカス・グループ・ディスカッションに関わってきた経験から、よく使うテーマ別の質問例を挙げておきます。モデレーターガイドを書くときの土台にしてください。
商品・サービスの利用実態を探る場合。
- 最後に〇〇を使ったのはいつ頃ですか。そのときの状況を教えてください。
- 〇〇を選んだ決め手は何でしたか。他の選択肢と比べてどう感じましたか。
- 使ってみて、期待どおりだった点と、ちょっと違ったなと思った点はありますか。
新コンセプトや広告物の評価をする場合。
- この広告を見て、最初に頭に浮かんだ言葉や印象を率直に教えてください。
- このコンセプトを友人に説明するとしたら、どう伝えますか。
- このブランドへのイメージは、見る前と後で変わりましたか。
潜在ニーズや不満を掘り起こす場合。
- 今の生活のなかで、〇〇についてもっとこうだったらいいのにと思う場面はありますか。
- もし制約がなく、自由に理想のサービスをデザインできるとしたら、どんなものを作りますか。
- 〇〇を使うのをやめようと思ったことはありますか。そのときどんな気持ちでしたか。
参加者が一番本音を語るのは、やめようと思った瞬間や失敗した体験を聞いたときです。ポジティブな話ばかりを引き出そうとすると、回答は表面的になりがち。ネガティブな体験も安心して話せる雰囲気をつくれるかどうかが、モデレーターの腕の見せどころです。
質問設計で陥りやすい3つの落とし穴
インタビューを終えて、なぜか噛み合わなかったと感じるとき、原因はたいてい設計段階にあります。よく見かける失敗を挙げておきます。
- 誘導質問になっている。この商品、使いやすいと思いませんか、のように答えを示す聞き方は、参加者の自由な発言を封じます。使い勝手はどうでしたか、とオープンに開きましょう。
- 一度に複数の問いを投げる。品質と価格とデザイン、どれが一番重要ですか、といった質問は参加者を混乱させます。一問一答を徹底するのが基本です。
- なぜを連発する。なぜですかは深掘りに使える一方、続けすぎると尋問のような圧を与えます。どんな場面でそう感じましたか、もう少し教えてもらえますか、と言い換えのバリエーションを持っておくと、対話が自然に続きます。
調査設計を活かす場、インタビュールーム赤坂 バイデンハウス
どれだけ質問が練られていても、実査の環境が整わなければ参加者は本音を話しにくくなります。空調の音が気になる、観察室が狭くてクライアントが窮屈そう、配信映像が不安定など、細かなストレスが調査全体のクオリティに響きます。その経験を踏まえ、自分が本当に使いたいと思える施設として設計したのが、インタビュールーム赤坂 バイデンハウスです。
フォーカス・グループ・ディスカッションに必要な要素は一通り備えています。
- 2フロア展開。3階はカジュアルな設えで生活者の本音が出やすく、4階は落ち着いた空間でシリアスなテーマにも対応します。
- マジックミラー設置。クライアントが観察室からリアルタイムでセッションを観覧できます。
- ZOOM配信、ストリーミング配信に対応。遠方のクライアントや、フォーカスビジョン(Forsta)を使ったオンライン配信にも使えます。
- 対象者は最大6名。フォーカス・グループ・ディスカッションの標準的な規模をカバーします。
- 洗面台つき。長時間の実査でも参加者やスタッフが快適に過ごせる清潔な設備です。
- 英語対応スタッフが常駐。外資系クライアントや外国人モデレーターによる調査にも対応します。
- 営業時間は9:30から22:00。夕方以降の調査枠も確保しやすく、設計の幅が広がります。
赤坂という立地も、対象者リクルートの面で見逃せません。アクセスの良い会場は、当日のキャンセル率を下げる効果があります。質問設計が固まったら、あとは場の力を借りるだけ。その候補として、インタビュールーム赤坂 バイデンハウスを検討してみてください。空き状況の確認や仮予約は、いつでもお気軽にお問い合わせください。
お電話でのお問い合わせ:03-6441-0989(11:00〜18:00、土日祝除く)
著者プロフィール
石崎 健人
インタビュールーム株式会社(リサート)取締役
株式会社バイデンハウス 代表取締役
外資系コンサルティング・ファームを経て現職。マーケティングリサーチャーであり定性調査のモデレーター。アドタイにて「Z世代の誤解とリアル。ビーリアルな、密着エスノ記」連載中。
