業界別・定性調査の実践事例から学ぶ7つの手法と成功条件

定性調査は自社の業界で本当に役立つのか、と疑問に思ったことはないでしょうか。消費財メーカー向けというイメージが先行しがちですが、実際にはBtoBサービス、金融、医療・ヘルスケア、テクノロジーなど幅広い業界で使われています。ここでは業界別の事例を交えながら、定性調査が現場の意思決定にどう効いているのかを見ていきます。

定性調査と定量調査、何が違うのか

両者の違いは、なぜ起きているのかを探るのか、どのくらい起きているのかを測るのか、という目的の差にあります。アンケートで満足度が60%と出ても、それだけでは次の一手が見えません。なぜ満足していないのか、どんな場面で不満を感じるのか。その文脈と感情を掘り下げるのが定性調査です。代表的な手法をいくつか挙げてみます。

  • デプス・インタビューは1対1で深掘りする手法で、センシティブなテーマや専門性の高い相手に向きます
  • フォーカス・グループ・ディスカッションは複数名のやり取りから集合知を引き出します
  • エスノグラフィーは対象者の生活や業務現場を観察し、本人も気づいていない発見につなげます
  • ワークショップは共創型のセッションでアイデアやコンセプトを一緒に組み立てます

サンプル数は数名から十数名程度が中心で、定量調査よりかなり少なめです。統計的な代表性ではなく、深さと文脈の理解を重視するため、少人数でも十分に洞察が得られます。

業界別・定性調査の活用事例

外資系コンサルティング・ファームでのプロジェクトを通じて、私はさまざまな業界の定性調査に関わってきました。ここからは業界ごとの典型的な使われ方を紹介します。

消費財・食品・飲料

もっともオーソドックスな領域です。新商品のコンセプト評価、パッケージデザインの選好、購買行動の深掘りなどに、フォーカス・グループ・ディスカッションが広く使われます。たとえば健康志向の飲料を買う理由を尋ねると、体にいいからという表層の答えの奥に、職場での自己管理意識の表明という社会的な動機が隠れていることがあります。こうした層は定量調査ではまず見えてきません。

金融・保険

センシティブなテーマが多く、グループ形式よりデプス・インタビューが選ばれます。老後の資産形成への不安、保険加入をためらう理由など、人前では本音が出にくいトピックこそ、1対1の対話が効いてきます。設計の段階で、対象者が話しやすい雰囲気をどう用意するかが結果を左右します。

医療・ヘルスケア・製薬

患者の服薬継続、いわゆるアドヒアランスや、医療従事者の処方行動を理解するために、エスノグラフィーやデプス・インタビューが用いられます。グローバル製薬メーカーがKOLと呼ばれる影響力のある医師へのインタビューを重ね、新薬の受容性を見極めるケースは、私自身も複数のプロジェクトで経験してきました。英語対応が求められる場面も珍しくありません。

BtoB・ITサービス・SaaS

製品が使われない理由、導入後に定着しない原因を探るとき、デプス・インタビューとエスノグラフィーの組み合わせが効きます。社内のユーザーインタビューと混同されがちですが、マーケティングリサーチとしての定性調査は、より体系的な調査設計と、中立的な実査環境を必要とします。

流通・小売

店頭での購買プロセスを追うウェイファインディングと呼ばれる売場内の行動観察や、購買後の使用体験をたどるホームビジット型のエスノグラフィーが代表的です。なぜそこで手が止まったのかは、本人もうまく言語化できないことが多く、観察と対話を組み合わせる手法が真価を発揮します。

業界を問わず共通する設計上の勘どころ

業界が変わっても、定性調査の設計で押さえておきたい点はだいたい共通しています。

  • 調査目的を一言で言えるかどうか。いろいろ聞きたいは失敗のもとで、どの意思決定のために何を明らかにするのかまで絞り込みます
  • 対象者の条件を細かく詰めること。サンプル数が少ない分、誰に聞くかが結果を直撃します
  • モデレーターとオブザーバーの役割を明確に分けること。実査中にクライアントが口を挟むと、対象者の発言が歪みます
  • 仮説を持ちすぎないこと。先入観が強いと誘導尋問になりやすく、驚きを歓迎する姿勢が良い調査を生みます
  • 分析とレポートまでを設計に含めること。データを集めて終わりではなく、インサイトに昇華させるところがゴールです

定性調査を支える場の設計、インタビュールーム赤坂 バイデンハウスという選択肢

国内外のインタビュールームを長く使ってきて実感しているのは、調査の質が施設の質に少なからず左右されるということです。清潔感がない、空調がうるさい、マジックミラー越しの視認性が悪い。こうした環境の問題が対象者の発言量や本音の出やすさに影響することは、現場を経験した方ならうなずけるはずです。

その課題意識から私が設計・運営しているのが、インタビュールーム赤坂 バイデンハウスです。所在地は東京都港区赤坂2-14-8 山口建設ビル 3階・4階。使いやすさ、清潔感、機能性の三つを柱に据え、定性調査の実査環境として手応えのある空間を目指しました。

  • 2フロア構成で、3階はカジュアル、4階は落ち着いたムード。テーマや対象者層によって使い分けられます
  • マジックミラーを備え、クライアントが実査をリアルタイムで観察できます
  • 洗面台つきで、対象者もスタッフも気持ちよく過ごせます
  • ZOOMやストリーミング配信に対応し、遠方や海外拠点からもリモートで参加できます
  • 英語対応スタッフが常駐し、グローバルプロジェクトや外国人対象者のインタビューもこなせます
  • 対象者は最大6名まで対応可能で、フォーカス・グループ・ディスカッションも余裕を持って実施できます
  • 営業時間は9時半から22時までで、夜間のインタビューにも対応します

業界を問わず、次の定性調査を計画しているなら、インタビュールーム赤坂 バイデンハウスを候補に入れてみてください。仮予約は空き状況の確認だけでも気軽にお使いいただけます。良い調査は、良い場から始まると考えています。

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お電話でのお問い合わせ:03-6441-0989(11:00〜18:00、土日祝除く)

著者プロフィール

石崎 健人

インタビュールーム株式会社(リサート)取締役
株式会社バイデンハウス 代表取締役

外資系コンサルティング・ファームを経て現職。マーケティングリサーチャーであり定性調査のモデレーター。アドタイにて「Z世代の誤解とリアル。ビーリアルな、密着エスノ記」連載中。

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