定性調査をやってみたいけれど、何から手をつければいいかわからない。そんな声をよく耳にします。アンケートのような定量調査と違い、定性調査はやり方が見えにくいと感じる方が多いようです。私自身、コンサルティング・ファームに在籍していた頃、初めて定性調査の設計を任されたときは、どの手法を選べばいいのか、サンプル数はどう考えればいいのか、ずいぶん頭を抱えました。ここでは定性調査の主な種類から設計の考え方まで、実務に即した形でお伝えします。
目次
定性調査とは何か——定量調査との違いから理解する
まず押さえておきたいのが、定量調査との違いです。定量調査はアンケートなどを通じて、どれくらいか、何割がそうなのかという数字を把握するもの。一方の定性調査は、なぜそう感じるのか、どんな文脈でその行動が生まれるのかを深く探っていきます。
数字では見えない消費者の心理や行動の背景にこそ、製品開発やコミュニケーション戦略のヒントが潜んでいます。定量調査で認知率は高いのに購入率が低いという課題が出てきたとき、なぜ買わないのかを明らかにするのが定性調査の出番です。両者は対立するものではなく、目的に応じて使い分け、ときに組み合わせて使うものと考えてください。
定性調査の主な種類と使い分け
定性調査にはいくつかの手法があります。それぞれの特徴を知ったうえで、調査目的に合うものを選ぶのが設計の出発点です。
- デプス・インタビュー(個別インタビュー)は、1対1で深く話を聞く手法です。プライベートな話題や、他者の目を気にせず本音を引き出したいときに向きます。インタビュアーが柔軟に掘り下げられるため、仮説の検証よりも発見に強みがあります。
- フォーカス・グループ・ディスカッション(グループインタビュー)は、4〜6名ほどのグループで議論する手法です。参加者同士の発言が触媒となり、一人では出てこない意見や感情が引き出されやすくなります。新製品のコンセプト評価や広告クリエイティブの反応確認などでよく使われます。
- エスノグラフィーは、対象者の生活現場や職場に赴いて行動を観察する手法です。言葉では語られない無意識の行動を捉えられるのが強みで、インタビューと組み合わせて使うこともあります。
- ワークショップは、参加者に共同作業や創作を通じてアイデアを出してもらう手法です。新しいサービスや体験を共創する場面で活用が広がっています。
これまでさまざまなプロジェクトに携わってきて感じるのは、手法ありきで考えると失敗しやすいということ。何を知りたいのかをはっきりさせてから手法を選ぶ。この順番が定性調査の設計でいちばん効いてきます。
定性調査の設計——サンプル数と対象者の考え方
定性調査を計画していると、何人に話を聞けばいいのかとよく尋ねられます。定量調査のように統計的な根拠でサンプル数を決めるわけではなく、定性調査ではどんな人から話を聞くかという質が問われます。
実務での目安としては、デプス・インタビューなら1セグメントあたり5〜8名ほど、フォーカス・グループ・ディスカッションなら2〜3グループ程度で組むことが多いです。ただし数字はあくまで目安で、新しい情報が出なくなる飽和点に達するまで続ける、というのが定性調査の根っこにある考え方です。
対象者の設計では、調査目的に沿ったリクルート条件を丁寧に組み立てることが肝心です。たとえばヘビーユーザーとライトユーザーを分けて実施すると、それぞれの文脈の違いが鮮明に浮かび上がります。フォーカス・グループ・ディスカッションでは、参加者同士が面識を持たないこと、年齢や価値観が極端に離れすぎないことも設計のポイントです。この段階での丁寧な作業が、インサイトの質に直結します。
実査の質を左右する「場」の選び方
調査設計が整ったら、次に効いてくるのが実査の場所です。インタビューはオンラインでも実施できますが、対面ならではの空気感や、マジックミラー越しにクライアントが観察できる環境は、調査の深みを生むうえでやはり欠かせません。国内外のさまざまなインタビュールームを使ってきましたが、部屋の雰囲気や設備の使い勝手が、対象者のリラックス度やインタビューの質に想像以上に響くことを実感してきました。
そうした経験を踏まえて設計・運営しているのが、インタビュールーム赤坂 バイデンハウス(東京都港区赤坂2-14-8 山口建設ビル 3F/4F)です。使い勝手のよさ、清潔感、そして対象者が自然体で話せる雰囲気。この三点にこだわって作りました。
- 2フロア展開で、3階はカジュアルな雰囲気、4階はムードのある落ち着いた雰囲気。調査のトーンや対象者層に合わせて選べます。
- マジックミラーを設置しており、クライアントは観察室から実査をリアルタイムで確認できます。
- 洗面台つきなので、長時間の実査でも対象者・スタッフともに快適に過ごせます。細かい点ですが、使ってみるとそのありがたみがよくわかります。
- ZOOMやストリーミング配信に対応しており、地方や海外のクライアントにもリアルタイムで届けられます。フォーカスビジョン(Forsta)にも対応しています。
- 英語対応スタッフが常駐しているので、外資系クライアントや海外調査会社との協働にも安心して臨めます。
- 対象者は最大6名まで対応でき、フォーカス・グループ・ディスカッションに適した規模感です。
- 営業時間は9:30〜22:00で、夜間のグループ実施にも対応できます。
定性調査は、設計、リクルート、モデレーション、分析と、すべての工程に質が求められます。そのなかで場の選択は意外と後回しにされがちですが、対象者が安心して本音を話せる環境を整えることは、インサイトの質を引き上げる土台になります。調査の目的と対象者に合った場所選びも、設計の一部として考えてみてください。
お電話でのお問い合わせ:03-6441-0989(11:00〜18:00、土日祝除く)
著者プロフィール
石崎 健人
インタビュールーム株式会社(リサート)取締役
株式会社バイデンハウス 代表取締役
外資系コンサルティング・ファームを経て現職。マーケティングリサーチャーであり定性調査のモデレーター。アドタイにて「Z世代の誤解とリアル。ビーリアルな、密着エスノ記」連載中。
