定性調査の種類と手法:マーケティングリサーチで使える7つのアプローチと実施手順

定性調査をやってみたいけれど、どの手法を選べばいいのかわからない。プロジェクトの設計段階でこの壁にぶつかる方は意外と多いものです。定量調査と違って定性調査は手法の幅が広く、適した場面もサンプル数の考え方もそれぞれ異なります。私自身、外資系コンサルティング・ファームでリサーチに携わっていた頃、とりあえずグループインタビューでと手法選びを雑に済ませてしまい、後になってこの問いならデプス・インタビューの方がよかったと反省したことが何度もありました。ここでは定性調査の種類と選び方を、実務で使える形に整理してお伝えします。

定性調査とは何か——定量調査との違いから理解する

定性調査は、数値では捉えにくい「なぜ」「どのように」を深く掘り下げる調査手法です。アンケートのように回答を集計して傾向を見るのではなく、対象者の言葉や表情、行動、その背景にある文脈から意味を読み取ることに主眼があります。

定量調査と定性調査の違いを簡単に整理すると、こうなります。

  • 定量調査は、多数のサンプルから統計的な傾向や割合をつかむ手法です。何割の人が好きかを知りたいときに向きます。
  • 定性調査は、少数のサンプルから深い洞察や文脈をつかむ手法です。なぜ好きなのか、どんな場面で使われているのかを知りたいときに力を発揮します。

大事なのはどちらが優れているかではなく、問いに合った手法を選ぶことです。定性調査は仮説を生み出したり、消費者インサイトを発見したりする場面で強く、製品開発の初期やコミュニケーション設計の前段でとくに効いてきます。

定性調査の主な種類と、それぞれの特徴

ひと口に定性調査といっても、実査の形はさまざまです。現場でよく使われる代表的な手法を見ていきます。

  • デプス・インタビューは、対象者一人とモデレーターが一対一で深く話す手法です。プライベートな話題、競合ブランドへの本音、購買時の葛藤など、グループでは出てきにくい個人の内面を引き出すのに向きます。サンプル数の目安は一テーマあたり8〜12名ほどです。
  • フォーカス・グループ・ディスカッションは、4〜6名の対象者がモデレーターの進行のもとで議論する手法です。参加者同士のやりとりから新しいアイデアや共鳴、対立が生まれやすく、カテゴリー全体の地図を描くのに適します。1グループ6名前後で複数グループ行うのが標準です。
  • エスノグラフィーは、対象者の生活の場や職場に調査員が入り込み、実際の行動を観察・記録する手法です。言葉にならない無意識の習慣や、環境とのやりとりが見えてきます。時間もコストもかかりますが、他の手法では拾えないリアルな文脈が手に入ります。
  • ワークショップは、複数の参加者が共同作業を通じてアイデアを広げ、まとめていく手法です。カード分類やプロトタイプ制作などを行いながら進めます。UXリサーチや新製品のコンセプト開発でよく使われます。

いろいろな現場を経験してきて感じるのは、手法を混ぜることの有効性です。エスノグラフィーで行動の実態を押さえたうえで、フォーカス・グループ・ディスカッションでその意味を参加者自身に言語化してもらう。こうしたマルチメソッドの設計が、より厚みのあるインサイトにつながります。

定性調査の設計で押さえておきたいポイント

設計でよくある誤解は、サンプル数は多ければ多いほどよいという発想です。定性調査のサンプル数は統計的な代表性を担保するためではなく、新しい情報が出てこなくなる飽和点、いわゆる理論的飽和を目安に決めます。デプス・インタビューなら8〜15名、フォーカス・グループ・ディスカッションなら2〜4グループあたりが採用されやすい規模感です。

設計段階で検討したい要素はこのあたりです。

  • リサーチクエスチョンを明確にすること。何を明らかにしたいかが曖昧なまま手法を決めると、集めたデータが後で使えなくなりがちです。
  • 対象者のリクルーティング条件をどう組むか。年齢、性別、使用経験、ライフスタイル。誰に話を聞くかで得られるインサイトは大きく変わります。
  • モデレーションガイドを作り込むこと。インタビューの流れや質問の深め方を事前に設計しておくと、当日の対話の質が変わります。
  • 実査環境を選ぶこと。対象者がリラックスして本音を話せる空間かどうかは、データの質に直結します。

最後の実査環境は、経験を積むほど効いてくると痛感します。照明、音響、部屋の雰囲気、スタッフの対応。こうした細部が対象者の発言の豊かさに確実に影響します。以前、某施設で老朽化した椅子と圧迫感のある照明のもとでインタビューを行ったとき、対象者の表情が終始硬く、得られたインサイトも表面的なところで止まってしまいました。あの反省が、後にインタビュールームを設計するときの原点になっています。

インタビュールーム赤坂 バイデンハウスについて

こうした実務経験とリサーチへの思いから、私が設計・運営しているのがインタビュールーム赤坂 バイデンハウス(東京都港区赤坂2-14-8 山口建設ビル 3F/4F)です。国内外のさまざまなインタビュールームを自分で使ってきたからこそ、あったらよかったと思える要素を形にした施設です。

定性調査の実査を快適に、そして高い品質で進めていただけるよう、次の点にこだわっています。

  • 2フロア構成。3階はカジュアルな雰囲気、4階はムードのある落ち着いた空間で、調査テーマや対象者属性に合わせてフロアを選べます。
  • マジックミラーを設置しており、クライアントや研究チームがリアルタイムで観察できます。
  • 洗面台を完備し、対象者にもスタッフにも清潔な環境を保てるよう設計段階から組み込みました。
  • ZOOMやストリーミング配信に対応し、遠隔地のクライアントやチームメンバーも実査にリアルタイムで参加できます。フォーカスビジョン(Forsta)などの専用ツールにも対応します。
  • 英語対応スタッフが在籍し、外資系クライアントや海外リサーチャーとの共同プロジェクトにも対応可能です。
  • 対象者は最大6名まで対応でき、フォーカス・グループ・ディスカッションの標準的な規模に合わせています。
  • 営業時間は9:30〜22:00で、夜間のインタビューや複数セッションをまとめて行う長時間実査にも対応できます。

仮予約は空き状況を見ながら気軽にお申し込みいただけます。設計段階からのご相談も歓迎しますので、お気軽にご連絡ください。

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著者プロフィール

石崎 健人

インタビュールーム株式会社(リサート)取締役
株式会社バイデンハウス 代表取締役

外資系コンサルティング・ファームを経て現職。マーケティングリサーチャーであり定性調査のモデレーター。アドタイにて「Z世代の誤解とリアル。ビーリアルな、密着エスノ記」連載中。

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