定性調査の種類と手法:マーケティングリサーチで使える5つのアプローチと実施手順

定性調査を設計する段階で、どの手法を選べばよいのか迷う場面は多いものです。グループインタビューか、一対一のデプスか、それとも観察型か。手法の幅が広い分、プロジェクトの問いに合った選択をしないと、後から「あの手法にしておけばよかった」と後悔することになります。外資系コンサルティング・ファームでリサーチに携わっていた頃、私自身も手法選びを雑に済ませて反省した経験が何度もありました。ここでは定性調査の種類と選び方を、実務で使える形に整理して紹介します。

① 定性調査は「なぜ」「どのように」を掘り下げる手法

定性調査は、数値では捉えにくい背景や文脈を深く理解するための手法です。アンケートのように集計して傾向を見るのではなく、対象者の言葉や表情、行動からその意味を読み取ります。定量調査が「何割の人が好きか」を明らかにするのに対し、定性調査は「なぜ好きなのか」「どんな場面で使われているのか」を探ります。どちらが優れているかではなく、リサーチクエスチョンに合った手法を選ぶことが大事です。

② デプス・インタビューは個人の内面を引き出す

デプス・インタビューは、対象者一人とモデレーターが一対一で深く対話する手法です。プライベートな話題や競合ブランドへの本音、購買時の葛藤など、グループでは出てきにくい個人の内面を引き出すのに向いています。サンプル数の目安は一テーマあたり8〜12名ほどで、新しい情報が出てこなくなる理論的飽和を基準に決めます。製品開発の初期段階や、消費者インサイトを発見する場面で力を発揮します。

③ フォーカス・グループ・ディスカッションは議論から地図を描く

フォーカス・グループ・ディスカッションは、4〜6名の対象者がモデレーターの進行のもとで議論を交わす手法です。参加者同士のやりとりから新しいアイデアや共鳴、対立が生まれやすく、カテゴリー全体の構造を把握するのに適しています。1グループ6名前後で複数グループ行うのが標準的な設計です。エスノグラフィーで行動の実態を押さえたうえで、フォーカス・グループ・ディスカッションでその意味を言語化してもらうといったマルチメソッドの設計が、より厚みのあるインサイトにつながります。

④ エスノグラフィーとワークショップは文脈とアイデアを拾う

エスノグラフィーは、対象者の生活の場や職場に調査員が入り込み、実際の行動を観察・記録する手法です。言葉にならない無意識の習慣や、環境とのやりとりが見えてきます。時間もコストもかかりますが、他の手法では拾えないリアルな文脈が手に入ります。ワークショップは、複数の参加者が共同作業を通じてアイデアを広げ、まとめていく手法で、カード分類やプロトタイプ制作を行いながら進めます。UXリサーチや新製品のコンセプト開発でよく使われます。

⑤ 設計では問い・対象者・環境の三要素を固める

定性調査の設計でよくある誤解は、サンプル数は多ければ多いほどよいという発想です。定性調査のサンプル数は統計的な代表性ではなく、理論的飽和を目安に決めます。リサーチクエスチョンを明確にすること、対象者のリクルーティング条件をどう組むか、モデレーションガイドを作り込むこと、実査環境を選ぶこと。この四点が設計段階で検討すべき要素です。照明、音響、部屋の雰囲気、スタッフの対応といった細部が、対象者の発言の豊かさに確実に影響します。以前、老朽化した椅子と圧迫感のある照明のもとでインタビューを行ったとき、対象者の表情が終始硬く、得られたインサイトも表面的なところで止まってしまいました。あの反省が、後にインタビュールームを設計するときの原点になっています。

こうした実務経験とリサーチへの思いから、私が設計・運営しているのがインタビュールーム赤坂 バイデンハウス(東京都港区赤坂2-14-8 山口建設ビル 3F/4F)です。2フロア構成でテーマや対象者属性に合わせて空間を選べ、マジックミラー、洗面台、ZOOM・ストリーミング配信、英語対応スタッフ、最大6名の対応人数、9時30分から22時までの営業時間を備えています。仮予約は空き状況を見ながら気軽にお申し込みいただけます。設計段階からのご相談も歓迎しますので、お気軽にご連絡ください。お電話でのお問い合わせは03-6441-0989(11時〜18時、土日祝除く)までどうぞ。

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