ユーザーインタビューを終えて、録音データや手書きのメモを前にして、ここからどう進めればいいのか途方に暮れた経験はありませんか。インタビュー自体はうまくいったのに、分析の段階でつまずく。定性調査に関わる方から、よく聞く悩みです。ユーザーインタビューの分析にはいくつかの型とコツがあり、設計の段階から分析を意識しておくと、現場での気づきをインサイトに変えやすくなります。今回は分析を中心に、設計から実施、まとめまでの流れを整理してお話しします。
目次
分析はインタビュー設計の段階から始まっている
ユーザーインタビューの分析が難しく感じられる理由のひとつは、聞いてから考えるという順序で進めてしまうことです。実際には、分析の方向性はインタビュー設計の時点でほぼ決まります。何を明らかにしたいのかという調査目的が曖昧なまま質問項目を並べると、得られるデータもばらつき、分析の軸が定まりません。
私がコンサルティング・ファームに在籍していた頃は、調査で答えるべき問いとなるリサーチクエスチョンを先に言語化してから質問項目を設計していました。たとえばなぜユーザーは途中で離脱するのかという問いがあれば、行動、感情、文脈の3軸で質問を組み立て、後から分析しやすい構造をあらかじめ用意しておくのです。設計段階での一手間が、分析の質を大きく変えます。
- 調査目的とリサーチクエスチョンを先に言語化する
- 質問項目は行動、感情、文脈の3軸を意識して設計する
- オープンクエスチョンを中心に、誘導にならない言葉を選ぶ
- インタビューガイドは話の流れとして設計し、柔軟に運用する
何人に聞けばいい?人数と飽和点の考え方
ユーザーインタビューは何人くらい実施すればよいのか、これは本当によく受ける質問です。定性調査では統計的な有意差を求める定量調査とは異なり、理論的飽和という考え方が基準になります。新しいインタビューをしてももう新しい気づきが出てこなくなった状態が飽和点で、そこが必要人数のひとつの目安です。
実務的には、個別に話を聞くデプス・インタビューなら1セグメントあたり5〜8名が目安とされることが多く、グループ形式のフォーカス・グループ・ディスカッションでは1グループ4〜6名で複数グループ実施するのが一般的です。製品の初期仮説検証のような探索的な調査では、少人数から始めて広げていく方法も使えます。人数よりも、誰に聞くかというリクルーティングの精度のほうが効きます。ターゲットから外れた対象者のデータをいくら集めても、インサイトにはつながりません。
ユーザーインタビュー分析の実践的なステップ
インタビューが終わったら、できれば当日中にメモや記憶を整理してください。時間が経つほど、その場の温度感や文脈は失われます。私自身、インタビュールームを出た直後、エレベーターの中でスマートフォンにメモを残すのを習慣にしていました。
分析の流れを大まかに整理すると、こんな順番になります。
- 書き起こしとラベリング。録音データをテキスト化し、発言に短いタグをつけていきます。AIツールの活用も役立ちます。
- コーディング。ラベルをカテゴリーごとにグルーピングします。KJ法やアフィニティ・マッピングがよく使われます。
- パターンの抽出。複数の対象者に共通するテーマや矛盾点を洗い出します。ある状況のときにこう感じるという形で整理すると、インサイトとして使いやすくなります。
- インサイトの言語化。誰々がこう言っていたという事実だけでなく、その背景にある動機や感情、文脈まで含めて表現します。
- 示唆への変換。インサイトをもとに、製品やサービス、コミュニケーションへの具体的な示唆を導きます。
分析のコツは、発言の表面だけを追わないことです。ユーザーが使いにくいと言ったとき、その言葉の背景には何があるのか。期待値とのずれなのか、過去の体験との比較なのか。文脈を読む力こそ、定性調査の醍醐味です。
分析の精度を上げるインタビュー環境の選び方
分析の質を高めるには、実査の環境も効いてきます。マジックミラー越しにモデレーターと観察者が役割を分担できる専用のインタビュールームは、分析の出発点となる観察と記録を支えてくれます。さまざまな施設を使ってきた経験からいうと、観察室の快適さや配信環境のクオリティは、現場のリサーチの質に直結します。観察者がストレスなく集中できる環境は、それだけで気づきを生みやすくします。
そうした経験をもとに設計したのが、インタビュールーム赤坂 バイデンハウスです。赤坂の静かなオフィスビルの3階と4階にあり、3階はカジュアルな雰囲気、4階はムードのある落ち着いた空間としてつくっています。対象者にリラックスして話してもらえる環境は、自然な発話を引き出し、分析に使えるリッチなデータにつながります。
- マジックミラーを設置し、観察と記録をスムーズに行えます
- ZOOMやストリーミング配信に対応し、フォーカスビジョンやForstaも利用できます
- 洗面台を完備し、対象者もスタッフも快適に過ごせます
- 英語対応スタッフが常駐し、グローバル案件にも対応します
- 対象者は最大6名まで対応し、デプス・インタビューからフォーカス・グループ・ディスカッションまで幅広く使えます
- 営業時間は9:30から22:00で、夜間の実査にも柔軟に対応します
ユーザーインタビューの分析は、良い問いを立て、良い場で聞き、丁寧に言語化する作業の積み重ねです。施設選びも、その一部だと考えています。インタビュールーム赤坂 バイデンハウスが、皆さまのリサーチの現場を支える場になればうれしく思います。
お電話でのお問い合わせ:03-6441-0989(11:00〜18:00、土日祝除く)
著者プロフィール
石崎 健人
インタビュールーム株式会社(リサート)取締役
株式会社バイデンハウス 代表取締役
外資系コンサルティング・ファームを経て現職。マーケティングリサーチャーであり定性調査のモデレーター。アドタイにて「Z世代の誤解とリアル。ビーリアルな、密着エスノ記」連載中。
