エスノグラフィー調査とは何か―定性リサーチ7手法の選び方と実施手順

エスノグラフィー調査をやってみたいけれど、どこから手をつければいいのかわからない。リサーチの現場でよく耳にする声です。デプス・インタビューやフォーカス・グループ・ディスカッションに比べると馴染みが薄く、なんとなく難しそうという印象を持っている方も少なくありません。ところが設計次第で、定性調査のなかでも飛び抜けて豊かなインサイトを引き出せる手法でもあります。ここではエスノグラフィー調査の基礎から設計の勘どころまで、実務で動かせる形に整理してお伝えします。

エスノグラフィー調査とは何か――定性調査における位置づけ

エスノグラフィーは文化人類学にルーツを持つ手法で、対象者の生活環境や行動をその場で観察することに重きを置きます。マーケティングリサーチに応用する場合は、消費者の自宅や職場、購買の現場といったリアルな生活の文脈に入り込み、観察と記録を行います。

定性調査の主な手法を並べると、次のように整理できます。

  • デプス・インタビュー、いわゆる個別インタビューは、1対1で深く掘り下げていく形式です。
  • フォーカス・グループ・ディスカッションは、複数名の議論からインサイトを引き出します。
  • エスノグラフィーは、生活現場に入り込んで行動と文脈を観察します。
  • ワークショップは、参加者が共同作業を通じてアイデアや意見を生み出していきます。

エスノグラフィーが他と一線を画すのは、言葉にならない行動を捉えられる点です。インタビューでいつもこうしていますと語られた内容が、実際の行動と食い違っていることは珍しくありません。その乖離を見つけ出すところにこそ、エスノグラフィーの本領があります。

定性調査と定量調査の違い――エスノグラフィーをどこで使うか

定性調査と定量調査の違いをひと言でいえば、なぜ、どのようにを探るのが定性、どれくらい、何割がを測るのが定量です。エスノグラフィーは定性のなかでもとくに探索的な局面、つまり問いの立て方そのものがまだ定まっていないフェーズで力を発揮します。

新商品開発の初期段階で、そもそもユーザーはどんな文脈でこのカテゴリーを使っているのかを知りたい場面を考えてみます。アンケートを組むには手がかりが足りません。そこでエスノグラフィーによる生活観察で仮説を生み出し、そのうえで定量調査につなげる流れが効きます。私がコンサルティング・ファームに在籍していた頃も、新市場参入のリサーチではエスノグラフィーを入口に据えることが多くありました。

サンプル数についても、エスノグラフィーは少数精鋭が基本です。デプス・インタビューが1セグメントあたり6〜8名程度であるのに対し、エスノグラフィーは1〜2名の観察から豊かな示唆が引き出せることがあります。n数が少ないから信頼性が低いと誤解されがちですが、目的が仮説生成や文脈理解である以上、少数でも十分な深さを持った調査として成立します。

エスノグラフィー調査の設計――実務で押さえたいポイント

エスノグラフィーは事前準備で結果がほぼ決まります。次の点を意識すると、調査の質が大きく変わってきます。

  • 観察テーマを絞ること。生活全般を観るでは焦点が散ります。たとえば料理の準備から片付けまでの一連の行動というように、具体的な行動シーンに照準を合わせます。
  • 観察者の役割を決めること。純粋な観察者として距離をとるのか、会話しながら掘り下げる参与観察にするのかで、得られる情報の質が変わります。
  • 記録方法を設計すること。動画、写真、フィールドノートを組み合わせると後の分析がぐっと楽になります。対象者からの同意取得も欠かせません。
  • 実査後のデブリーフィングを組み込むこと。観察のあとに短いインタビューを挟むと、行動の背景にある意識や感情を補えます。
  • 分析フレームを先に仮置きしておくこと。観察中に何を見るかが明確になり、見落としを防げます。

これまで関わってきたプロジェクトを振り返ると、エスノグラフィーは準備が8割という実感があります。現場では予想外のことが必ず起きます。だからこそ、観察の軸がぶれないように設計段階で徹底的に議論しておきます。

エスノグラフィーを含む定性調査を支える、インタビュールーム赤坂 バイデンハウス

エスノグラフィー自体は現場に出向く調査ですが、その前後に行うデプス・インタビューやフォーカス・グループ・ディスカッション、デブリーフィング・セッションでは、施設の質が調査の精度に直結します。国内外のさまざまなインタビュールームを使ってきた経験から、施設の居心地が対象者の発言の深さに影響することを痛感してきました。

その実感をもとに設計したのが、東京都港区赤坂2-14-8 山口建設ビル3F・4Fにあるインタビュールーム赤坂 バイデンハウスです。使いやすさ、清潔感、機能性を軸に、調査の目的やトーンに合わせて選べる2フロア構成にしています。

  • 3階はカジュアルな雰囲気で、日常会話に近い感覚で話しやすい空間です。生活者目線の本音を引き出したい調査に向いています。
  • 4階は落ち着いたムードのある空間で、繊細なテーマや高感度なターゲットへのアプローチに適しています。
  • マジックミラーを備え、クライアントは観察室から実査をリアルタイムで確認できます。
  • 洗面台つきで、長時間の調査でも対象者とスタッフの双方が快適に過ごせます。細かい点ですが、ここまで配慮している施設は意外と多くありません。
  • ZOOMやストリーミング配信に対応し、遠方のクライアントや海外チームにも届けられます。フォーカスビジョン(Forsta)にも対応しています。
  • 英語対応のスタッフが在籍しており、外資系クライアントや海外調査会社との連携もスムーズに進みます。
  • 対象者は最大6名まで対応し、フォーカス・グループ・ディスカッションの標準的な人数構成をカバーします。
  • 営業時間は9時30分から22時まで。夜間の実査にも対応するため、スケジュール調整の幅が広がります。

エスノグラフィー調査の前後に挟むインタビューセッションの場として、あるいは定性調査全般の実査拠点として、インタビュールーム赤坂 バイデンハウスをご検討ください。仮予約だけのご相談も歓迎しています。

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著者プロフィール

石崎 健人

インタビュールーム株式会社(リサート)取締役
株式会社バイデンハウス 代表取締役

外資系コンサルティング・ファームを経て現職。マーケティングリサーチャーであり定性調査のモデレーター。アドタイにて「Z世代の誤解とリアル。ビーリアルな、密着エスノ記」連載中。

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