何を聞けばいいのか整理しきれないまま、インタビュー前日を迎えてしまった。質問項目を書き出したものの散漫で、本当に知りたいことを引き出せるか不安だ。そんな声は調査の現場でもよく聞きます。ユーザーインタビューの成否は、当日の進行よりもむしろ事前の質問設計で決まります。質問項目の作り方から調査全体の組み立て、分析の進め方まで、現場の感覚に近い形でお伝えします。
目次
質問項目は目的から逆算してつくる
質問項目を考えるとき、聞きたいことをそのまま並べてしまいがちです。けれど最初に手をつけるべきは、このインタビューで何を明らかにしたいのかという目的のはっきりした言語化です。目的が曖昧なまま質問だけが並ぶと、終わったあとに、結局何がわかったのだろうと立ち尽くすことになります。
目的が定まったら、それを知るために何を聞く必要があるのかを分解していきます。たとえば、なぜユーザーが途中で離脱するのかを知りたいなら、離脱のタイミング、そのときの感情、代わりにとった行動、過去の似た体験など、いくつもの切り口が浮かび上がります。この分解の作業こそが、質問設計の中身そのものです。
- 調査目的を一文で言い切る
- 目的を達成するために知るべきことを3〜5項目に整理する
- 各項目に対して具体的な質問を2〜3問ずつ用意する
- 60〜90分のインタビューなら全体で10〜15問を目安にする
良い質問には型がある
ユーザーインタビューの質問には、いくつかの定石があります。さまざまな現場を踏むなかで、この型を意識するだけでインタビューの中身が大きく変わると感じてきました。
もっとも大事にしているのは、開かれた質問を軸に組み立てることです。はい・いいえで答えられる質問は事実確認には便利ですが、語りを引き出す力は弱い。そのときどんなことを考えていましたか、具体的にはどういう状況でしたかというように、相手が自分の言葉で話せる聞き方を心がけます。
- 行動を聞くなら、実際にどうしましたか、そのあとどうなりましたか
- 感情を聞くなら、そのときどんな気持ちでしたか
- 文脈を聞くなら、それはどんな状況のときですか、普段どういう流れでやりますか
- 比較を聞くなら、以前と比べて変わった点はありますか
- 深掘りするなら、もう少し詳しく教えていただけますか、それはなぜですか
誘導につながりやすい、〜だと思いませんかという聞き方や、複数の要素を一度に詰め込むダブルバーレル質問は避けてください。質問ガイドができたら声に出して読んでみると、誘導になっていないかが見えてきます。
人数、時間、分析まで含めた設計の全体像
質問項目だけ整えても、調査設計全体が緩いと得られた情報を活かしきれません。設計の段階で押さえておきたいポイントをまとめます。
人数の目安からお話しします。デプス・インタビューと呼ばれる個別形式の場合、同じセグメントで5〜8名話を聞くと、発言の共通パターンが見えてきます。予算や期間が厳しいときも、最低3名は確保したいところです。フォーカス・グループ・ディスカッションは1グループ4〜6名が扱いやすく、参加者同士のやりとりを使って仮説を検証するのに向いています。
時間配分の例も挙げておきます。60分のインタビューなら、アイスブレイクに5分、背景や文脈の確認に15分、コアテーマの深掘りに30分、補足と確認に8分、クロージングに2分という流れが使いやすいです。質問を詰め込みすぎて時間切れになるのは本当によくあるので、いざとなったら捨てる質問をあらかじめ決めておくと安心です。
分析については、録音や録画から発言を書き起こし、KJ法やアフィニティ・ダイアグラムで発言をグルーピングしていきます。インタビューの最中から、この発言は効くというメモを残しておく習慣があると、後工程がぐっと楽になります。クライアントや開発チームにオブザーバーとして立ち会ってもらうと、生の声がチームの共通認識として残り、分析後の意思決定までの距離が一気に縮まります。
インタビュールーム赤坂 バイデンハウスについて
質問項目と設計を丁寧に準備しても、会場の環境が整っていなければ、対象者の本音は引き出しにくくなります。インタビュールーム赤坂 バイデンハウスを設計するときに特にこだわったのは、対象者がリラックスして話せる空間と、オブザーバーがストレスなく観察できる環境の両立です。国内外の数多くのインタビュールームを使ってきたなかで、このどちらかが欠けている施設の多さを痛感してきたからです。
会場は東京・赤坂にあり、3階と4階の2フロア構成で、調査の雰囲気や目的に合わせて選んでいただけます。
- 3階はカジュアルで親しみやすい雰囲気。日用品や食品、サービスなど、生活者に近いテーマの調査になじむ空間です
- 4階は落ち着いたムードで、富裕層調査やBtoB、感度の高いブランド調査にも対応できる設計です
- マジックミラーを設置し、クライアントやチームがリアルタイムで観察・メモを取れる環境を確保しています
- ZOOMやストリーミングでの配信に対応し、遠方のステークホルダーもオンラインで同時視聴できます
- 洗面台を備え、長時間の実査でも清潔さに配慮しています
- 英語対応スタッフが在籍し、外資系クライアントや海外向け調査にも対応できます
- 対象者は最大6名まで対応でき、フォーカス・グループ・ディスカッションにも柔軟に使えます
- 営業時間は9時30分から22時まで。夜間の実査や、日中に仕事がある対象者のリクルーティングにも合わせやすい時間帯です
質問設計が整ったら、それを十分に活かせる会場を選ぶ。インタビュールーム赤坂 バイデンハウスは、定性調査の現場を知る視点からつくられた施設です。仮予約はオンラインから進められますので、空き状況だけでも気軽にのぞいてみてください。
お電話でのお問い合わせ:03-6441-0989(11:00〜18:00、土日祝除く)
著者プロフィール
石崎 健人
インタビュールーム株式会社(リサート)取締役
株式会社バイデンハウス 代表取締役
外資系コンサルティング・ファームを経て現職。マーケティングリサーチャーであり定性調査のモデレーター。アドタイにて「Z世代の誤解とリアル。ビーリアルな、密着エスノ記」連載中。
