グループインタビューの司会、何を意識すればいいのかわからない。初めてモデレーターを任され、そんな悩みを抱えている方は少なくないはずです。何度か経験しているけれど議論が深まらない、特定の参加者が話しすぎてしまう、と感じている方もいるかもしれません。司会、つまりモデレーターの動き方は調査の成否を大きく左右します。これまで数多くの定性調査に関わってきた経験をもとに、グループインタビューの司会に必要なスキルと心構えを実践的にお伝えします。
目次
フォーカスグループとは。司会が果たす役割
フォーカスグループ・ディスカッション、いわゆるFGDは、複数の参加者が集まって特定のテーマについて意見を交わす定性調査の手法です。1対1で深く聞くデプス・インタビューと違い、参加者同士のやり取りから個別では出てきにくい気づきが浮かび上がってくるのが最大の特徴です。
この場をコントロールするのがモデレーターの仕事です。ただ聞いているだけの役ではありません。議論の方向をガイドし、全員の声を拾い、表面的な意見の奥にある本音を引き出す。場の設計者であり、観察者でもあります。外資系コンサルティング・ファームに在籍していた頃、優秀なモデレーターのセッションを何度もオブザーブしてきましたが、うまい司会ほど存在感を消しながら場を動かしているという印象が強く残っています。
グループインタビューの進め方。司会が押さえる4つのフェーズ
進行は大きく4つのフェーズに分かれます。フェーズごとに司会の役割も変わります。
はじめのオープニングでは、場の雰囲気づくりに徹します。自己紹介や軽いウォームアップから入り、正解も不正解もないので率直に話してほしい、と最初に伝えて緊張をほぐします。
続く導入質問では、テーマに関連した経験や日常を語ってもらう質問を投げかけます。いきなり核心に踏み込まないのがポイントです。
コア質問のフェーズでは、調査の核心に触れていきます。なぜそう感じたのか、具体的にはどんな場面だったのか。プローブと呼ばれる深掘りの問いかけを重ね、表層の回答で終わらせないようにします。
最後のクロージングでは議論を振り返り、言い残したことがないかを確認します。今日の話の中で一番大事だと思ったことは何ですか、と問いかけて締めくくる方法が有効です。
オブザーブ側から見ていると、コア質問に入るのが早すぎて参加者がまだ温まっていない、という場面に何度も出くわしました。場の温度感を読む力は司会に欠かせません。
よくある失敗と対処法。人数と発言バランス
人数は4〜6名程度が扱いやすい規模です。少なすぎると議論が広がらず、多すぎると一人ひとりの発言機会が減って意見交換が表面的になりがちです。司会にとって最大の課題のひとつが、この発言バランスの管理になります。
特定の参加者が話しすぎるときは、ありがとうございます、では◯◯さんはいかがですか、と自然に振り直します。発言を否定せず、流れだけを変えるのがコツです。
沈黙が続いても、まずは怖がらずに少し待ちます。それでも進まないときは、たとえばこういう経験はありますか、と具体例を示して促します。
議論が脱線したら、興味深い視点ですね、少し戻って◯◯についても聞かせてください、と柔らかくリダイレクトします。意見が対立した場面では、どちらにも肩入れせず、いろんな見方がありますね、他の方はどうですかと広げます。
モデレーター経験者の声を見ていると、沈黙への対処が一番難しかったというコメントが目立ちます。沈黙は場の失敗ではなく、参加者が考えているサインだととらえると、司会としての落ち着きが変わってきます。
司会がやりやすい会場選びも、調査の質を左右します
会場の選び方は、司会のパフォーマンスに直結します。さまざまなインタビュールームを使ってきて感じるのは、設備が整っていればモデレーターは場のコントロールに集中できる、ということです。録音機器の不具合や、クライアントが落ち着いて観察できない環境では、司会者にも余計なプレッシャーがかかります。
会場選びで確認したいポイントは次のとおりです。
- マジックミラーが設置され、クライアントが別室でオブザーブできるか
- 対象者人数、最大6名程度に対応したルームサイズか
- ZOOM配信やストリーミング配信に対応しているか
- 洗面台など参加者が快適に過ごせる設備があるか
- グローバル調査に向けて英語対応スタッフがいるか
私が設計・運営しているインタビュールーム赤坂 バイデンハウス、東京都港区赤坂2-14-8 山口建設ビル3階・4階は、こうした現場の声をもとに作り上げた施設です。3階はカジュアルで参加者がリラックスしやすい雰囲気、4階はシックで落ち着いた空間と、目的やターゲット層に合わせてフロアを使い分けられる設計にしました。マジックミラーは完備、洗面台つきで参加者への配慮も十分です。ZOOM・ストリーミング配信に対応し、英語対応スタッフも在籍しているので、外資系クライアントのグローバル調査でも安心してご利用いただけます。
- 3階はカジュアルな雰囲気で、参加者の緊張をほぐしやすいセッティング
- 4階は落ち着いた空間で、プレミアムな調査にも対応
- マジックミラー設置、洗面台完備
- ZOOM・ストリーミング配信対応
- 英語対応スタッフ在籍
- 対象者最大6名に対応
- 営業時間は9:30〜22:00で、夜間の実査にも対応
グループインタビューの司会は、準備とスキル、そして場の環境がそろってはじめて機能します。会場選びの段階から調査設計の一部としてとらえることが、質の高いインサイトを引き出す近道になります。
お電話でのお問い合わせ:03-6441-0989(11:00〜18:00、土日祝除く)
著者プロフィール
石崎 健人
インタビュールーム株式会社(リサート)取締役
株式会社バイデンハウス 代表取締役
外資系コンサルティング・ファームを経て現職。マーケティングリサーチャーであり定性調査のモデレーター。アドタイにて「Z世代の誤解とリアル。ビーリアルな、密着エスノ記」連載中。
